熱物性学会について




堀部 明彦 (岡山大学)




 第44期の日本熱物性学会会長を拝命いたしました岡山大学・堀部明彦です.2020年から昨年までの3年間は事務局担当副会長として皆様にお世話になりました.事務局の1年目からコロナ禍のため色々と手探りの状況となり,会長・役員や会員の皆様のおかげにより事務を進めてまいりましたが,今回,大役を務めさせていただくことに身が引き締まる思いです.
 現在本学会では,昨年の総会で森川淳子前会長がご説明されたように,前会長の強力なリーダーシップのもと,持続可能な本学会の運営や活性化の方策として,事務局用務の一部外部委託を行い,また法人化の可否の検討などを進めております.
 本学会の事務局用務は基本的に事務局担当の副会長が担当しております.1991年より,他の多くの学会も利用していた「学会事務センター」に用務の一部を委託しましたが,2004年に学会事務センターが破綻し,本学会も損害を受け,当時の本学会役員の皆様が大変苦労して学会運営の立て直しをされています.特に会費徴収に関しては小口幸成先生のご尽力により10年以上に渡り合同会社「鷗友」にお世話になり,その後2017年にNPO法人「日本熱科学研究支援機構」が長坂雄次先生,小原拓先生を中心に本会会員有志により設立され,昨年まで会費徴収を担っていただきました.皆様のこれまでのご尽力に心よりお礼申し上げます.
 本学会は,他の大きな学会と異なり,専任の事務担当等はおらず,役員の皆様のお力により多くの活動をしております.特に事務局担当は理事会等の開催や会計管理,会誌の送付など多岐にわたる用務を差配し,実務は事務局担当副会長の研究室の若手教員や秘書の方にお願いしてきました.上述の学会事務センターの破綻を経験している本学会としては,会員情報や会費徴収など学会の根幹となる事務に関しては,外部に委託することは慎重な立場でしたが,一部の方の過度なご負担に依存せずに今後も持続可能な体制とするため,今回慎重に検討を重ね,新たに一般社団法人「学会支援機構」に会員管理や会費徴収などの一部事務局用務を依頼することにいたしました.
 さらに,学会の大きな方向性として,昨年の総会でご説明しましたように,長年の懸案事項であった本学会の一般社団法人化について検討をしてまいります.現在,本学会は任意団体ですが,法人格を取得することで法人名義の契約が可能となるなど,社会的信頼性が高まります.他方,デメリットとしては,法人運営に関して,従来よりも柔軟な学会運営ができない点や会計処理などに費用かかる場合があることが挙げられます.また,法人化する際には定款を定め役員会等の形態も変わることが想定されます.一般社団法人化の是非については今年さらに検討して,今年の総会で方向性についてご説明をさせていただき,会員の皆様のご意見を伺うことになると思います.
 学会活性化の一環としては,迫田直也企画担当理事のご手配により昨年度より熱物性セミナーを実施しております.昨年度は,非常に興味深い講演会を2回開催し,会員外の方も含め多くの方にご参加いただきました.本学会の情報発信や会員増加に向けて本活動を今年も継続するとともに,会誌「熱物性」や他の学会活動の充実も図りたいと思います.
 本学会は皆様ご存じのように社会的に無くてはならない有用な学会ですので,基幹となるところは継続し,一方でとり巻く情勢に合わせて種々対応してまいります.特に,これまで諸先輩方が人と人とのつながりを大事にして学会に関与され,様々な事項に対処されてきたことについては,本学会の伝統として次世代にも伝えていきたいと思っております.
 日本熱物性学会は,2020年に創立40周年を迎えましたが,今後50周年,100周年を迎えるために,皆様のお力をもって発展・継続させていきたいと存じますので,何卒よろしくお願い申し上げます.

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